こんにちは、市原えつこです。
「オファーの判断基準」についての記事の反響が大きく、フリーランスの仕事について知りたいという需要があるのかな、と思ったので今日もそういったことを書いてみます。
私は新卒入社したIT企業に5年間勤務しながら、なりゆきで作家業を副業としてはじめたところ
ちょいちょいと依頼が舞い込むようになり
そちらにフォーカスしたい気持ちがだんだん大きくなってきたため、会社を辞めて独立しました。
とはいえ生活の不安もありましたし、悩んでいる期間も相当長かったです(3年ぐらい、、)。
ある日足の骨を骨折するという事件があり、それでようやく思いきれたというありさまでした。(詳しくはこちら)
そうやって特にアテもなく勢いで独立しましたが、無事に1年間、楽しく生きることができました。
いざ出てみると予想以上にどうにかなるもんだな、と拍子抜けすることも多かったので、当時の自分に言い聞かせたかったことをまとめてみました。
組織の中でうまくやっていくスキルと、フリーランスとしてうまくやるスキルはまた別物
別に会社の中でものすごく仕事ができる部類ではなかったと思うので(本部長とかでもないし)、そんなんで独立して大丈夫かな?という不安もあったのですが、
会社内での実績や評価と、独立してからの活躍の仕方というのはそこまで関係ないな、という実感があります。
私は「組織のためならなんでもやる、残業も厭わない!」というよりは「会社の仕事は最低限やることやったら切り上げて、やりたいことやります(副業も忙しいし)」という淡白な感じで働いてたので、会社員としてはあまり理想的な姿でなかったかもしれませんが、
忠誠心の強いサラリーマンのように「クライアントのためなら何でもやります!!」という奉行精神が強すぎると、フリーランスだといいように使われてしまうので、
ドライに「リソースの等価交換」と考えるメンタリティは案外フリーとしては健全だったようです。
あとは会社での出世に必要な社内政治力みたいなものもフリーランスの稼ぎとは関係ないので (代わりに必要になるのがスキルと個性と自己プロデュース力)
社内政治とかが息苦しい人、個人主義の人、あと目立つの好きな人はフリーの方がのびのびやれるかも。
とはいえ、会社員の頃に身につけたスキルは独立してからも生命線になる
私はかなり大きいIT企業の中にいたので、みんないわゆるITリテラシーが高く(エンジニアさんは効率化ツールとか開発ツールとかみんな自分でガンガン作ってた)、自分は標準かそれ以下ぐらいの知識だと思っていました。
デザイナーとして働いていたものの、会社にはもっと職人的にすごいデザイナーがたくさんいて、自分はそこまでデザインは得意じゃないな~と感じていたのですが、
いざ会社を出て世の中一般を見るとIT詳しい人なんてそんなに多くないし、自分ぐらいのデザインスキルでも案外世間で需要があることに気付きました。
特定の特化した組織においては標準レベルでも、外に出てみると需要が意外とあるというケースは色々あると思います。
「フリーランスは実力主義の競争社会、特定分野の高いスキルがないと生き残れない」というハードなイメージがあったのですが、要は自分のスキルと誰かの需要がうまくあえば仕事は成り立つので、巷でイメージされてるほど厳しい世界ではないと思います(むしろ会社員の方がよほど競争社会に感じました)
人はたいして他人のことを見てない
「周囲の目が」とか「世間からどう思われるか」みたいなのを気にして二の足を踏む気持ちもよくわかるのですが、
人間、自分のことでいっぱいいっぱいで他人のことなんか気にしてる暇はないし他の人の行動を気にしてとやかく言うような人がいるとしたらただの暇な人か粘着質な人なのであんまり気にしなくていいと思います😇
あくまで自分の人生で、その人の人生じゃないので(その人が責任とってくれるわけじゃないですし)自分の価値観に基づいてやりたいようにやればいいと思います。
組織の中にいるとできないことも予想以上に多い
私は副業として作家活動をしながら会社員をやっていて(副業OKだったので)
安定した仕事もあって、好きなこともやれて、完璧じゃんこれが理想形じゃん今のままでいいじゃんと思っていたのですが、意外と行動に規制があったことに、会社を辞めてから気がつきました。
たとえばアーティストとして事務所に所属できる、平日昼に打ち合わせできるのでチャンスを取りっぱぐれない、副業ではとてもこなせないような大規模な案件を全力でできる、テレビの1日密着取材も受けることができる、といったことが独立するとできるようになり、大手を振って「オフィシャルに」やりたいことができるようになったのはすごく清々しいです。
あとは、自分の好きなことを仕事にすると、それにかかったお金を「経費」にすることができるのがとても良いです。もはや趣味なのか仕事なのかわからなくなります。
現代の日本社会でそうそう死なない
会社を辞めるときに「食っていけるのか」という心配がまず先立つと思いますが、なんだかんだで1年間お金に困ることはありませんでした(おかげさまで、、🙏)
もしほんとに食えなくなったら実家に帰って両親とゆっくり過ごす時間をとればいい、とか(それもまたプレシャス)
日本の地方には空き家がたくさんあって、都会で生きるのが大変になったら低コストで生きていく道もあるとか(それもまた楽しそう) 気楽に構えている部分もあります。
日本は今のところ豊かな国で、餓死することはそうそうないし、みんな親切だからいざとなったら助けてくれるな、というのが実感です。
(ただ、私は独身の女性なので自分が食えてればよいから気楽ですが、所帯や子供を持ってる男性とかのケースだとプレッシャーが大きいかもしれない、、逆にいうと独身の方はチャンスです!
女性の場合は在宅でできる仕事がある方がその後もなにかと融通きくので、フリーは長く仕事を続けるイメージがわきやすいと思います&時間給じゃなくて成果報酬なので、働ける時間が減っても工夫すればいたずらに手取りが少なくなることもないです)
会社を辞める、というのはかなり思い切りのいる決断ですが、
「何か大きなものを手放すと大きなものが入ってくる」というのは真実だなーと思います。
安定とか「みんなが欲しがるもの」を捨てた時なんかは特にです。
ただし、人は自分のこれまでの経験からしかものを言えませんし
また別の考え方もあると思うので
あくまで1人の女性のアーティストの参考意見として捉えてくださいませ😇
ではでは~
文責:市原えつこ
アーティスト、妄想監督。1988年、愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性から、国内の新聞・テレビ・Web媒体、海外雑誌等、多様なメディアに取り上げられている。主な作品に、大根が艶かしく喘ぐデバイス《セクハラ・インターフェース》、虚構の美女と触れ合えるシステム《妄想と現実を代替するシステムSRxSI》、家庭用ロボットに死者の痕跡を宿らせ49日間共生できる《デジタルシャーマン・プロジェクト》等がある。 2016年にYahoo! JAPANを退社し独立、現在フリーランス。2016年 総務省異能vation(独創的な人特別枠)に採択。2017年 第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞。
http://etsukoichihara.tumblr.com/