フリーランスの働き方

フリーランスの醍醐味:闇と光は表裏一体

昨日「フリーランスの闇」というブログを書いたところ

反響が大きく、あっという間に30000PVを超えました。

 

いろいろなコメントが飛び交いまして、その中でもよく

「こんなん全部メリットじゃねーか」というご意見をいただきました。

鋭いです。

自分自身、正直「フリーになって良かった」としか思っていないので、無理やり暗くしてみましたが楽しさが滲み出ていたと思います。

無理やり闇っぽくした脚色を除いてみると、以下のようになります。

「好きな時に好きなことしかやらなくていい」最高さ

フリーランスだと好きな時間に起きて、好きな仕事を好きなだけして、好きな場所で働けます。

一緒に仕事をする人も選べますから、好きな人と一緒に仕事ができる。人間関係でストレスがたまりません。

それでいて、ありがたいことにお金に困ることもない。

しかしここは世界屈指の勤勉国家、日本。

平日にのんびり街を歩いてるときに忙しそうなサラリーマンの方を見たり、しんどい仕事や職場の人間関係に悩んでる友人の話を聞いたりすると、

「はやく会社辞めちゃえばいいのに、全然生きていけるのに」と思う反面、ふと「こんなに楽してていいのかな…」と罪悪感が湧いてきます。

こんなに楽しく生きててごめんなさい、という気持ちになります。ほんとごめんなさい。昼に飲むビール最高です。

いわゆるストレス耐性がどんどん落ちてきているようにも感じます。

もはや週5で会社に通勤して8時間労働できる気がしません。満員電車も無理です。

どんどん精神がメタボになっていってるのでは…という背徳感がたまりません。

しかし実のところメタボというよりは、ある意味生物として健やかになっているとさえ思います。ストレス耐性なんてつかない方が健全ですし、我慢強さなんてナンセンスです。

その日の気分や体調もありますし、人間、そんなに毎日規則正しく働くようにできてない気がします。特に女性は。

とはいえ会社務めの頃とは違うプレッシャーや圧力もあったりするのですが。人前に出るプレッシャーとか、失敗できないプレッシャーとか。その1つが次のものです。

組織の名前ではなく、自分の名前で生きていくスリルと楽しさ

独立すると、組織の看板は外れますから、「自分の名前」をブランディングしていくことが必要になります。

私の場合だと、「ヤフー社員」という看板から、「市原えつこ」という看板に入れ替えることになりました。

全ての時間を「市原えつこ」という看板の力を増強することに労力をさけるので、昔より多少は個人の看板の力は強まったと思います。会社員の頃よりTVや雑誌のオファーも積極的に受け、自らのプロモーションをしています。それが収入に直結するという好循環になるからです。

会社員だと、自分の仕事実績が会社の実績として吸収されてしまうことも多いのがもったいないよなーと思います。

これからの時代、「個人の名前」の影響力がどんどん強くなっていくと踏んでいますので、時代の流れに即したことだと思います。

必然的に「自分の知名度」というものが、会社員の頃よりも重要なKPIになりました。

上を見ればキリがないですし、「もっとがんばらなきゃ」というプレッシャーが昔よりも強いです。

でも、退路を断つことは良い面と悪い面があって、しんどいこともありますが

今のところは良い面の方を感じてます。

危機感やプレッシャーのおかげで、人生に保険をかけてたころよりも頑張れるからです。

会社のせいにも、上司のせいにもしなくていい清々しさ

雇い主のいないフリーは、全ては自己責任で、己の事業がうまくいくかどうかは自分次第です。

「会社が悪い」「上司に恵まれない」と愚痴や言い訳を言うことで、自分の課題から目を逸らしてしまうこともできません。

「誰のせいにでもできない」ということは自分を追い詰めるものでもありますが、同時にとても清々しいことでもあります。

同僚と一緒にクダをまかなくていい

「つらい」「帰りたい」と同僚とクダをまくのは生産性がないようで、心の癒しになるものですよね。居酒屋文化のないアメリカ人が意外とメンタルヘルスやられがち、という話を聞きかじったことがあるのですが、頷ける話です。

とはいえ同じ組織の同質性の強い人々で群れるのは心の安定には繋がりますが、そこには進歩も有益さもありません。時間泥棒の最たるものです。

フリーランスだと自分と完全に同じ境遇の同僚はいないので、孤独に耐えることができる強さが大事です。

自分で自分の方針を全て決められる

フリーだと自分のことは自分で全て決めることができるのが醍醐味です。

どこで、誰と、どんな仕事をするか、すべて自由。

気が向けば日本をふらりと脱出もできますし

どれぐらいの収入、どれぐらいの仕事水準を目指し働くかのペースも自らコントロールできます。

今年は銭ゲバになる!とにかく稼ぐ!のか、今年は仕事減らしてのんびり過ごして可能性を広げよう…なのか。

しかし膨大な自由を与えられた時、人は意外と不安になるものではないでしょうか。

尻を叩く人もいませんので、仕事の水準やコミットメント量も、自分のモチベーションや熱意に依存します。

そんな状況がずっと続く。長距離ランナーのように、自分の心身と志を健やかに保っていかなければいけません。

そこで私は、総務省 異能vationという研究助成の支援期間である今年の8月末までを目処にクライアントワークを減らし、作品の制作や開発に集中することにしました。ここで自分の作家性を整理し、長期的に走っていけるように身辺を整えることにします。

選択肢が多すぎるし、選択の機会も果てしなく続く。その結果はすべて自分がケツをふく。

だからこそ自分が本当にやりたいことに正直になれますし、自分が食えてさえいれば誰にも迷惑をかけることはありません。

選択、選択、選択の連続で、常に思考がフル稼動。

選択を繰り返す中でどんどん自分の感覚に正直になれますし、野生の勘が飛躍的に向上します。

ということで、表に出づらいしんどさもありますが、結局フリーランスは自由で楽しいよ、というお話でした。

なんか暗いブログを書いたせいか実家の父から野菜が送られてきたりご心配をおかけして申し訳ないですが、わたしは元気です。

闇に負けにくい人の特徴もまとめてます。

ABOUT ME
etsuko-ichihara
メディアアーティスト。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性から、国内の新聞・テレビ・Web媒体、海外雑誌等、多様なメディアに取り上げられている。第20回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門優秀賞を受賞、総務省異能vation(独創的な人特別枠)に採択。