フリーランスの働き方

じわじわとメンタルを蝕む、フリーランスの闇

0フリーランス、自営業になって1年が経過しました。

制約が少ないし好きな仕事できるし毎日楽しいし最高!と思っているのですが

才能があり、仕事がうまくいってるのに悩んでいる同業者の方が最近目につくのが気になってきました。

例えガンガン稼げていても、フリーの生活は見えないところでじわじわと心を蝕むものがあるような気がして、原因を突き止めたいと思います。

「好きな時に好きなことしかやってない」後ろめたさ

フリーランスだと好きな時間に起きて、好きな仕事を好きなだけして、好きな場所で働けます。

一緒に仕事をする人も選べますから、好きな人と一緒に仕事ができる。人間関係でストレスがたまりません。

それでいて、ありがたいことにお金に困ることもない。

しかしここは世界屈指の勤勉国家、日本。

平日にのんびり街を歩いてるときに忙しそうなサラリーマンの方を見たり、しんどい仕事や職場の人間関係に悩んでる友人の話を聞いたりすると、

「はやく会社辞めちゃえばいいのに」と思う反面、ふと「こんなに楽してていいのかな…」と罪悪感が湧いてきます。なんか人間として間違ってるんじゃないかなと。

大好物ばっかり食べずにピーマンも食べなさい!と言われた子供時代の道徳観を引きずってるのかもしれませんw

いわゆるストレス耐性がどんどん落ちてきているようにも感じます。

もはや週5で会社に通勤して8時間労働できる気がしません。満員電車も無理です。

どんどん精神がメタボになっていってるのでは…という心許なさ。

(逆に世間が連休の時にゴリゴリ働いてたりするとファック!!!!ってなりますが)

とはいえ会社務めの頃とは違うプレッシャーや圧力もあったりするのですが。人前に出るプレッシャーとか、失敗できないプレッシャーとか。その1つが次のものです。

組織の名前ではなく、自分の名前で生きていくプレッシャー

独立すると、組織の看板は外れますから、「自分の名前」をブランディングしていくことが必要になります。

私の場合だと、「ヤフー社員」という看板から、「市原えつこ」という看板に入れ替えることになりました。方針転換が大きいw

全ての時間を「市原えつこ」という看板の力を増強することに労力をさけるので、昔より多少は個人の看板の力は強まったと思います。会社員の頃よりTVや雑誌のオファーも積極的に受け、自らのプロモーションをしています。それが収入に直結するからです。

これからの時代、「個人の名前」の影響力がどんどん強くなっていくと踏んでいますので、時代の流れに即したことだとは思います。

しかし必然的に「自分の知名度」というものが、会社員の頃よりもセンシティブな問題になってきました。

上を見ればキリがないですし、「もっとがんばらなきゃ」というプレッシャーが昔よりも強いです。

退路を断つことは良い面と悪い面があって、

今のところは良い面の方を感じてますが、

しんどい時はしんどいだろうな~

全て自己責任

雇い主のいないフリーは、全ては自己責任で、己の事業がうまくいくかどうかは自分次第です。

「会社が悪い」「上司に恵まれない」と愚痴や言い訳を言えることは、実は精神の防衛になっている部分もあるのではないでしょうか。

「誰のせいにでもできない」ということは清々しいことでもありますが、自分を追い詰めるものでもあります。

苦楽を分かち合う同僚がいない

「つらい」「帰りたい」と同僚とクダをまくのは生産性がないようで、心の癒しになるものですよね。居酒屋文化のないアメリカ人が意外とメンタルヘルスやられがち、という話を聞きかじったことがあるのですが、頷ける話です。

同じ組織の同質性の強い人々で群れるのは進歩がないという見方もありますが、その反面で心の安定には繋がります。

フリーランスだと自分と完全に同じ境遇の同僚はいないので、そういう意味では孤独です。

会社員の頃に女性ばかりのチームにいた時、大変な仕事の後にみんなでおつかれー!って火鍋食べに行ったりデザートビュッフェ行ったりしたの、楽しかったな~🍧🥘👭👭

会社辞めた後も飲みに誘ってくれる同期には感謝です(最近あまり行けてなくてごめん…)。

※フリーのみなさま、四半期ごとにみんなで頑張りをねぎらいあうお疲れ様会でもやりましょう😂

自分で自分の方針を全て決めないといけない不安

フリーだと自分のことは自分で全て決めることができます。

どこで、誰と、どんな仕事をするか、すべて自由。

気が向けば日本をふらりと脱出もできますし

どれぐらいの収入、どれぐらいの仕事水準を目指し働くかのペースも自らコントロールできます。

今年は銭ゲバになる!とにかく稼ぐ!のか、今年は仕事減らしてのんびり過ごして可能性を広げよう…なのか。

しかし膨大な自由を与えられた時、人は意外と不安になるものではないでしょうか。

尻を叩く人もいませんので、仕事の水準やコミットメント量も、自分のモチベーションや熱意に依存します。

そんな状況がずっと続く。長距離ランナーのように、自分の心身と志を健やかに保っていかなければいけません。

ちなみに私は、総務省 異能vationという研究助成の支援期間である今年の8月末までを目処にクライアントワークを減らし、作品の制作や開発に集中することにしました。

そう思い切るのもけっこう勇気がいりましたが。

選択肢が多すぎるし、選択の機会も果てしなく続く。その結果はすべて自分がケツをふく。

選択、選択、選択の連続で、常に思考がフル稼動している感じがあります(ちょっと疲れる)

ということで、自由なフリーランスですが、表に出づらいしんどさもあるよ…というお話でした。

ABOUT ME
etsuko-ichihara
メディアアーティスト。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性から、国内の新聞・テレビ・Web媒体、海外雑誌等、多様なメディアに取り上げられている。第20回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門優秀賞を受賞、総務省異能vation(独創的な人特別枠)に採択。