クリエーター向けノウハウ

自分を定義する-活動のセルフマネジメントの基本②

こんにちは、市原えつこです。

GW中の更新から少し時間が空きましたが、アンケートでご要望が多かった、個人で活動するにあたってのセルフマネジメントその②について記事を書いてみます。

個人で何らかの活動を発信する際には「対外的に自分をなにかしら定義すること」が求められますが

最初はどうすれば良いか検討もつかないかもしれないので、迷っている方はご参考までに、、

名乗りたい肩書きを名乗ればいい

個人でなにかしら活動していくにあたり、頻繁に必要になってくるのが肩書きです。自分をどう定義すればいいか、地味に頭を悩ませるものだと思います。

ただ、医師とか弁護士とか、免許が必要なものを素人が名乗るとまずいですが

そうでなければ、名乗ったもん勝ち、なりきったもん勝ちな側面はかなりあると思います。名乗ることで自分にプレッシャーがかかり、客観的な実績も後からついてくるからです。

「映像つくるのが好きです」「文章書くのが趣味です」よりも「映像作家です」「ライターです」の方が圧倒的に仕事頼みたくなりますよね。

私も今は「アーティスト」と名乗って活動をしてますが

デザイナーとして企業勤めしていた頃は特に、そう名乗ることにかなり抵抗がありました。

美大も出てないですし、いわゆる現代美術っぽい作品を作っているわけではなく、見ようによっては「お前のどこがアーティストなんだよw」と笑われかねない感じだったと思います。

ただ、自分の職能を定義するのに、デザイナーでもプランナーでもなく「アーティスト」と言った方が一番包括的で適切な気がしたのでそうしました。また、そう名乗ることで覚悟が決まりそうだと思ったから、というのもあります。

はじめは若干気恥ずかしかったですが、その後に美術手帖から取材されたり、日本のメディアアート業界で最も有名なギャラリーICCで個展をしたり、日本最高峰のメディア芸術のコンペティション「文化庁メディア芸術祭」で受賞したり、「アーティストの目線がほしい」という要望で企業やマスメディアからお仕事をいただけるようになり、客観的な実績も少しずつついてきたので

最近はアーティストと名乗ってもまぁバチはあたらんか…とようやく自分でも納得できるようになったところです。

でも、最初はやはり背伸びが必要なんだと思います。

自分がなりたいものを名乗ってしまえばよいかと😤遠慮してても時間が過ぎて年とるだけなので。

(とはいえ、名乗ったからには『ちゃんとやらねば』というプレッシャーがかかりますし、周りからの目も痛いかもしれませんが、、まぁそれが目的でもあります)

(あと、あまりに今の自分の実力と乖離がありすぎてつらい場合はハードルを下げるという手もありますw私は最初自虐を込めて『社畜系アーティスト』と名乗ったこともありました。あとは〇〇見習い、とか)

ちなみに私はサブ肩書きとして「妄想監督」というあやしい名前を名乗っています。テクニカルディレクションに対して、妄想のディレクションをすることが多いのでそう名乗りました。

英訳すると「fantasy director」となり、大変ファンシーになります。。🌹

こういったオリジナルな肩書きを名乗ると独自性が演出できてよいですが、

「ハイパーメディアクリエーター💫」的なキラキラネーム感が出ると逆に痛々しい可能性もあるため、バランスを鑑みつつ考案しましょう。(ただし、痛さすらも武器にできるキャラの場合においてはその限りではありません)

それっぽいプロフィール編集の鉄板

よくあるアーティストプロフィールみたいなのとか、著者プロフィールみたいなのとかありますよね。

事務所に所属している場合を除き、あれ、だいたいは本人が自分で書くものじゃないかなと思います。

他人よりも自分の方が自分がやってきたこと、やっていきたいことを事細かに知ってるはずなので、そういう意味でも本人が書く方が個人的にオススメです。自演乙感がありますが、やはりここでも恥を捨てることが大事です🤗

で、だいたいこういう風に書いておけばソツがないかな、というプロフィールの要素を解説してみます。

①名前

②肩書きor所属先

③生まれ年、出生地(いらないかも)

④出身校(いらないかも)

⑤活動のポリシーやスタンスをシンプルに(それに代替するものとして、代表的な作品があればそのタイトル)

⑥主要な実績を列挙(受賞歴、展示歴、出版歴、メディア出演歴など)

特に大事なのは⑤と⑥じゃないかなと思います。

⑥の客観的な情報だけ網羅してもで、結局あなたは何がしたいの?となりますし

主観的にやりたい方針だけ書くとで、あなたは客観的にどれだけ実績があるの?となるのが人情だと思います。

ですので両方をバランスよく編集するのが大事かと。

ちなみに「実績」と言ってもそんな堅苦しく考える必要はなく、

「これまでの人生で、あれは大舞台だったな…」「あれは身に余る光栄だった、超ラッキー」と思うことを列挙すればいいだけです。

最後にご参考までに、現状の私のプロフィールはこんな感じです。

もともと自分で考えた内容と、事業の申請にあたり一緒にお仕事をしていた方が私の紹介文として書いてくださった他己紹介を織り交ぜています(『アートの文脈を知らない人も~』のくだり)。

市原えつこ

アーティスト、妄想監督。1988年、愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性から、国内の新聞・テレビ・Web媒体、海外雑誌等、多様なメディアに取り上げられている。主な作品に、大根が艶かしく喘ぐデバイス《セクハラ・インターフェース》、虚構の美女と触れ合えるシステム《妄想と現実を代替するシステムSRxSI》、家庭用ロボットに死者の痕跡を宿らせ49日間共生できる《デジタルシャーマン・プロジェクト》等がある。 2016年にYahoo! JAPANを退社し独立、現在フリーランス。2016年 総務省異能vation(独創的な人特別枠)に採択。2017年 第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞。

http://etsuko-ichihara.com/

若干なげえので、そろそろ整理しないとな、、と思いました

「自分をどう定義するといいのか」というのは実際に活動してフィードバックを得るなかでだんだん分かってくるものなので 

まずは(仮)でもいいので自分を定義して、外部に出してみるのが大事かなと思います。 

例えばイベントでの自己紹介の際などに、自分の活動のどこを喋れば面白がってもらえるか、どのエピソードを喋るとウケがいいか、という温度感もわかってくるかと。

なんだか就活の自己PRめいていますが。。あれよりはもっと楽しいと思います!

ではでは、ご武運を祈ります💪

ABOUT ME
etsuko-ichihara
メディアアーティスト。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性から、国内の新聞・テレビ・Web媒体、海外雑誌等、多様なメディアに取り上げられている。第20回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門優秀賞を受賞、総務省異能vation(独創的な人特別枠)に採択。