クリエーター向けノウハウ

初めての海外展示・フェスティバル参加。やらなければいけないことは?【準備編】

ブログでは遅ればせながらのご報告ですが、私たちの「デジタルシャーマン・プロジェクト」がメディアアート分野の世界的な賞である「アルスエレクトロニカ」のInteractive Art+部門でHonorary Mention(栄誉賞)を受賞いたしました(併せて、科学と芸術の優れた融合に贈られる新設部門のSTARTS PRIZEにノミネート頂きました)
それに伴い、オーストリア・リンツで開催される今年度のアルスエレクトロニカ・フェスティバルで作品を発表いたします。
(また、今年はその他にも複数の国での展示に招聘いただいております)
皆様いつも応援・ご支援いただきありがとうございます!

わ〜〜〜い!!!!!

と、ひとしきり喜んだあとは現実にご対面。出発までにやらなくてはならないタスクが死ぬほどあるので、自分のため、そして同じく初海外出展におののいている方のためにメモを残しておきます。

はじめての海外出展にあたり、様々な方にご知見をいただき、本当に感謝です
(特にアーティストの後藤映則さん、研究者の山岡 潤一さん、クリエイティブディレクターの瀧戸ドリタさんにかなり詳細にTipsを教えて頂き、、、本当にありがとうございました)

海外出展までに必要なこと

現地スタッフとのやりとり、すり合わせ、展示要件整理

メディアアートの分野だとまずテックライダーという展示要件を整理した指示書を作成します。

こちらを叩きに、現地の責任者とメール or Skypeでやり取りをし、展示の要件を詰めていきました。
とはいえ母国語ではないため細かい内容を言語ベースで決めるのが大変で、要件決定において意思疎通が難しい場合はなるべく模擬的にセットアップを組んで映像を送ったりすることでコミュニケーションをスムーズにしていました。

作品の英語化、展示要件にあわせたローカライズ

絵画や彫刻などノンバーバルなものであれば国を自動的に超えていきますが、私の作品は日本語で喋っている内容が含まれているため、それを英語化したり、日本の文化や価値観に依存した表現をしている箇所はわかりやすく置き換えたり、といった調整が必要になりました。

また国内での展示とは勝手が違う場合も。例えば私の作品は家庭用ロボットが必要ですが、国や予算によっては調達が難しい場合があります。
そういった規制があった場合にフルスペックではない代替案、バックアッププランを用意しておくことも大事だなと実感しています。

渡航や輸送の手配

渡航、宿の確保は基本的に運営でやっていただける事が多いようです。

輸送については慎重に手段を選ぶ必要があります。郵送よりも手持ち荷物の方が確実であることが多いようなので、海外展示経験豊富なアーティストの先輩方(後藤映則さんや長谷川愛さんなど)は展示において大事なもの・必須なものは手持ちでの輸送をおすすめされていました。

高額機材を持ち込む際に気をつけないといけないのが関税対策。
展示での一時的な物品持ち込みであっても「輸出」「輸入」扱いとなり税関で高額な関税を支払うハメになりかねないので、事前に「ATAカルネ」という申請をしたほうが安全です(出さなくていいと勘違いしていたのですが、お世話になってるキュレーターの方々に『出したほうがいいよ』と教えられ慌てて手配した)。

安全な梱包

国内輸送よりも防水性と強度に気を使う必要があるので大変でした。税関を通るため国内の郵送よりも色々とシビアで、事前に内容物と重さ、価格を申告し、それに忠実に荷物を入れていく必要があります。
しかし集荷などは国内郵便と同じように自宅に来てくれます。
手持ちで持っていく貨物については、安全かつ航空機の規制に引っかからない寸法や重さを意識する必要があります(今これと格闘しているところ)

語学の練習

言わずもがな。。残念ながら当方バイリンガル、トリリンガルではないので、極力語学力を改善して現地に行く必要があり、
レアジョブなどのオンライン英会話で、スキマ時間に講師に向けて作品説明の練習をしているところです。
また英ペラの友人たちからはシャドウイングでの練習を強くおすすめされているので、海外ドラマやTEDxトークをシャドウイングすることでリスニングや発音の改善をしています。
※即効性のあるリスニング&スピーキングの学習法があればぜひ教えて下さい!!w

 

以上、準備編でした。
現地編については行くまでわからん!!ので、また後日お届けします。現地の情報も良ければ色々教えて下さい〜!

ABOUT ME
etsuko-ichihara
メディアアーティスト。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性から、国内の新聞・テレビ・Web媒体、海外雑誌等、多様なメディアに取り上げられている。第20回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門優秀賞を受賞、総務省異能vation(独創的な人特別枠)に採択。