クリエーターが契約トラブルに見舞われた時の対処方法

クリエーターが契約トラブルに見舞われた時の対処方法

こんにちは、市原えつこです。

近頃更新がパッタリと止まっていましたが、その間に何があったかというと
契約関連でモメてました★

守秘義務がございますので具体的に何があったのか、というのはお話できないのですが、なかなかの泥仕合でした。
これまでの人生であまり悪い人と出会ったことがなかったので
この度はじめて修羅場の交渉というのを体験してなかなか楽しかったです。

※一応念のため付け加えておくと、トラブルが発生したのは仲介業者さんとの契約であって取引先・クライアント様との契約ではないです。独立してからお仕事をさせて頂いたクライアント様はどこも誠実な方々でした

今後の人生で大きな損失を生まないために、インフルエンザワクチンを打って予防接種をしたのだ、とポジティブに捉えることにします。

クリエーターはお金に無頓着だったりあまり法に関する知識がなかったりするケースも多いため、ビジネスワールドの強者からそれにつけこまれがち。

私も法律や契約のプロではないのであくまで今回素人が必要にかられて学んだ範囲のことですが、他にもクリエーターが契約トラブルに巻き込まれることがあるかもしれないので、今回の学びを共有したいと思います。

※予想以上に記事が拡散しているので念のため注意ですが、筆者は法務の専門家ではなく、あくまで自分がトラブル発生時に素人知識で対応したやり方を書いている記事となります。ケースバイケースなことも多いですし、トラブルが発生した場合には弁護士や行政書士に相談するのが最も確実です

※ちなみにこういったトラブルをわざわざ公開するのは自分にとってもリスクではあるので、今は全公開ですがおいおいnoteなどの袋とじコンテンツに移行するかもしれません。ご了承下さい


何気にコワ〜い契約書

サービスの利用規約同意書、不動産契約、税理士との顧問契約、イラストの利用契約、雇用契約、、、などなど、社会で生きていると何かと遭遇する契約書。

なんか長ったらしいし難しいこと書いてあるから、一応目は通すものの流し読みでサインしてしまいがちですが、そもそも当たり前ですが契約書とは法的拘束力のあるもの
相場から見てどうなの?人としてどうなの?という内容であっても、「双方合意の上です」という趣旨の書面が残ってしまえばそれは原則遵守せねばならない内容となってしまいます。
また、もし訴訟が起きた時には取り交わした契約書の条項が裁判の上でも強い証憑となります。
えげつない局面にこそ力を発揮するのが契約書です。

「この作業やって」「わかった」というような口頭でのやり取りでも一応契約は契約なのですが、あえて書面で取り交わすときは特に注意して内容を確認せねばならんのだなあ、と痛感しております。

 

契約におけるあやしい行為・準詐欺行為あるある

これは私が遭遇したことのあるケースですが、契約締結プロセスにおいて悪意のある業者がやりがちな手口をまとめてみました。

ビジネスやお金が動く場で友達感覚で接してくる人には注意

ビジネスという戦場において、もともと友達だったわけでもないのにやけに友達感覚で馴れ馴れしく接してくる人には注意しましょう。

単に緊張感のない阿呆であるか、ナメられているか、もしくは詐欺行為に及ぼうとしているかのいずれかである可能性が高いからです。いずれにせよ有害なので(そして最後のはさらにタチが悪い)警戒はしておきましょう。

友達感覚で接してふわっと説明しながらヤバい契約を結ばせようとする、みたいな悪どい手を使う輩はゴロゴロいます。悪魔か。フレンドリーな態度というのは、いろんな都合の悪い物事を「ナアナア」にするのに便利なのです。

契約以外でも、友好的な談笑モードのどさくさに紛れて重要な意思決定をさせようとする・・・という手口が使われるケースも多いので
顔は笑いつつ、冷静な心は忘れないようにしておくのが大事です。

異様に意思決定までの判断期間が短い時は必ず警戒すること

契約書面の確認・検討期間が異様に短い場合も要警戒です。

善良な業者さんであれば事前に契約書面を送ってじっくり検討期間をいただけるものですが、
グレーな業者の場合はその場でろくに契約内容を確認・検討・調査させずにすぐに署名捺印させる傾向があります。

※クリエイティブ業界で有名な弁護士さんに相談したアーティストの知人からの追加情報(諸説あり):
契約書がWordなど書き換えられる形式で送ってくるのが通常で、pdfといった書き換え不可で送ってきたらまず疑った方が良いとのこと。契約書はお互いの同意あってのものだから、こちらが編集出来ないものを送ってくる時点で変だそうです。

ちなみにその昔、詐欺で悪名高いA◯C クッ◯ングスタ◯オの体験授業行ったときも、もれなく上記2つの特盛りコンボが来たなあ…。異様にフレンドリーな先生が、今すぐ契約してくださいっ☆とタブレットに個人情報を入力させてきました。断ってよかった。

不自然に口頭でのやりとりが多い場合もアヤシイ

文面でやり取りするより口頭で喋ったほうが早い、ということは確かにあります。

とはいえ、法的にグレーな内容や交渉は、証憑が残らないように電話や口頭で、と使い分ける悪徳業者も多いのも事実。
何かあっても「言った言わない」で逃げ切れる可能性が高いからです。

それを避けるため、相手が口頭で重要な意思決定をさせようとしてきた場合、
相手が言っている内容を書面にまとめ、内容に相違ないか確認をとってからのお返事にしたほうが安全だと思います(書き言葉にしてまとめている間に自分が冷静になる、という効能もありそう)

相手のペースに乗らないこと、空気を読まないことは必要

空気を読んで相手の言ってる通りにしていると、自分にとって不利な条件で物事が進んでいた・・・ということは割とありがち。(いつまで経ってもギャラの話が出ない、とかフリーランスあるあるですね)

微妙な空気になろうが、自分に不利益が生じるほうがよほどヤバいので
気になることは失礼にならないように気をつけつつも、その都度ガンガン突っ込んでいきましょう。
下記の山中先生のツイートの通り、空気読みすぎると死にます。

 

 

 

契約書の罠に気付いた場合ー署名捺印してからでもどうにかなる場合もある

「あれっ、騙された?」「この契約おかしくない?」と契約締結後に気付いた場合。

もう契約後だからどうしようもない、、と泣き寝入りしてはダメです。
少しでもあやしいな?と疑問を感じたときは必ず何か罠があると考え、調査をし、戦って権利を勝ち取りましょう。

温和に済ませることが良いことだとは限らない

 

画・市原えつこ

 

温和に済ませたほうがラクじゃん、と思うかもしれませんが、おとなしく不当な契約を履行したらカモ認定されるも同然です。
一方的に不利な条件をのみ、泣き寝入りするのはあまり有効な手だとは思えません。たとえ面倒でも時にはアウトレイジモードで戦ったほうが長い目でみて自分のためになるケースも多いです。

 

不当な契約は絶対に認めない、妥当な対応を取らないとこちらも相応のことをするぞ、という強気の姿勢でツメていきましょう(恐喝・脅迫にならないように気をつけつつ)。
私も元々あまり人に対して強気に出るのが得意なタイプではないのですが、ここで下手に出てしまうと負けだと思い、自分の中に眠っているヤクザ成分を集結させてバトルモードになりました。

ちなみに私は行政やマスコミとのコネクションが多い&取材依頼やメディア出演も多く発信力があるので、それを脅迫にならない程度にチラつかせながら異議申し立てをしました。

ただでさえ個人のクリエーターは立場が弱くなりやすいので、パワーバランスが偏らないように自分が使える武器はちらつかせたほうがいいです。また、こちらが取りうる最終手段を履行する前にお知らせするのは相手に対しての誠意でもあります(多分)

明らかに向こうに非のある場合の交渉では引かないこと

相手方の不当行為があったことを主張し、契約内容についての異議申し立てをすると、おそらく相手は最初その事実を否定すると思います。
そういった場合、自分の主張に自信がない場合は
まだ「疑わしい」ぐらいの段階だと、「自分の考えがおかしいのかな?」と主張を取り下げてしまいがち。

ただ、本当にクリーンな契約であれば疑念も何も出てこないはずなので、何かモヤモヤするならそこに何かあると思ったほうがいいです。詐欺をする側も巧妙にグレーなところをついてくるので、パッと見では分からないから気のせいだと思ってしまうことも少なくありません。

ネゴりにネゴったうえで最終的に手打ちしてもいいですが、最初から譲歩はしたらマズいです。相手のついた嘘や誤魔化しを「そんなもんなのかな…」とひとつ許容し譲歩すると、そこからどんどん攻め込まれてくるので
細かい言動の矛盾をつき、徹底して攻めていくことをオススメします。
手打ちにするのは、ツメにツメきった後、最後にこちらのリソースをこれ以上消耗しないための損切りのような段階で初めて行うものだと学びました。

当時の参考図書

物騒な内容が続きますが、参考になりました。

的確な情報収集と状況把握が命

こういったケースでの交渉は情報戦の側面もあります。

関係者の証言などウラをとる、法的に違法ないし不当であることの根拠を調査して入手する、など短期間での下ごしらえが必要ですが
法的根拠があると「相手の行為がどう不当ないし違法なのか」具体的に主張できるため交渉がしやすくなりますし、外部の専門家に相談する際にも相談機関のアタリをつけやすくなります。

相手の行為に不当性があることを証明したい場合、どの法律にどのように違反しているのか?の検討を付ける必要があります。
とはいえ消費者契約法、下請法、労働基準法、ナントカ法、、のオンパレードなので、法律の勉強をしたことのないクリエーターなどは途方にくれると思いますが(自分もそうでした)
Web検索などでそれらしい言葉を打ち込んでいくと自分のトラブルのケースに近しい事例や判例が出てくることも多く、そこからどんどん情報を辿っていくような形で何の法律に違反しているのかリサーチできることもありました。

ちなみに消費者契約法においては、契約締結のプロセスで事業者側に虚偽の申告などの不当行為があった場合、その契約を解除できるという条例もあるようです(ケースバイケースではありますが)

 

一人では判断できないと思ったときは、必ず信頼できる機関からセカンドオピニオンをもらうこと

「これってどうなんだろう…?」と判断に迷う部分について相手方に聞いても、そりゃ自分側にとって有利な解答しかしません。
だからといって「うーん、わからないから、まあいいや。サインしとこ」となるのはバチクソ危険

利害関係のない第三者に意見を仰ぐと、サクッと解決することも多いので、いざという時は外部の相談先を見つけておきましょう。

行政機関の無料相談窓口も結構あります。お役所的な部分もあるかもしれませんが、誠意をもって取り組んでいるところもあるので、レビューなどを参考にしつつ探してみましょう。(とはいえ、昨今はインターネットのレビューもステマやアフィリエイトが蔓延しているので、鵜呑みにするのは危険ですが・・・!レビューサイトもある程度削除したりできますし)

 

防御力を上げるためのTips

その他、クリエーターが契約トラブルを防ぐためのTipsを書いておきます。

口頭でのやり取りを減らし、極力メールなど文面の残る手段で交渉する

特に詐欺が発覚してから「どうなっとんじゃワレェ」と詰め寄る時の交渉は、
口頭は避けてメールの文面にて行うことをオススメします。
書き言葉の方が相手の言っていることの矛盾を冷静に判断しやすいし、弁護士なり行政なりにセカンドオピニオンをもらう際にも一部始終の流れが分かりやすいからです(あと、告発もしやすい
口頭や電話だと適当に相手もごまかすことができますが、文面のやり取りだと細かい嘘が命取りになるため、相手に非がある場合の交渉のプラットフォームとしてはメールが有効です。

ちなみに私のケースだと、異議申し立てをしたあと最初は相手が死ぬほど電話をかけてきましたが
「エビデンスを残したいのでメールのやり取りでお願いします」でゴリ押ししてメール交渉に切り替えさせていただきました。

法知識を勉強すると防御力が上がる

クリエーターは法律のプロではないし、専門職ばりの知識は身につけなくていいと思うのですが
世の中にはどういった法律があり、こういったトラブルの場合はこの法律、行政機関を当たれば早いのではないか、、とアタリをつけられる程度に齧っておくと、とっさの対応がしやすくなります。

トラブルが起きたときは初動のスピードと正確さが大事なので、少しでも良いのでアンテナを貼っておくと、些細なトラブルで命取りになるようなことを防げると思います。


 

追記:とある経営者様から匿名でのアドバイス

このブログをFacebookにポストしたところ、数々の修羅場をくぐり抜けている凄い方から匿名を条件にクリエーターの契約に関するアドバイスをいただけましたw
どこにも出てない血なまぐさいビジネスノウハウなのでマジでありがたい・・・!

※画像はイメージです

「一つ言えるのは、契約書をあなたに有利なように書いてくれる人は(あなたの雇った弁護士以外)いない、ってことですかね!客の善意などないです。」

「客も常に悪意があるわけじゃないけれども、いざという時に、とか、上司に間抜けって言われるのが嫌で、とか、色んな理由で、クリエイターのあなたに有利な契約を結んでくれることはめったにありません。

契約書の1行は血よりも重いです

ヒッ……

 

▼以下、ほぼ某さんに送っていただいた原文ママでお送りします。

契約書は先出しが強いです

・先に、自分が大事だと思うこと、有利だと思うことを契約書に入れられるので、
自分の仕事がカテゴリ化できるひとは、雛形をもっておきましょう

・さらに「あ、こちらからフォーマットあるんで出しますよ」と
初回案件内定後に、さらっと言えるとNiceです。

・先に契約書を書くと、相手はそれをもとに修正するので、
相手にとって大事にしたいところがわかります。
ワードの編集履歴を残して貰うのも大事ですし、
https://difff.jp/
を使って、しれっと変えてある部分があったら、その取引先は「ヤベえところ」です。

・さらに、自分が大事にしている項目も、相手がスルーしてくれたら、儲けものです。

交渉は、お互いの落とし所を見つける作業でもありますから、
相手にとってはイタくないけれども、
自分にとっては欲しいもの、は、
相手にとって交渉カードにさせないことで、より有利に状況を運ぶことができます。

契約書を上手に書くテクニック

契約書を上手に書くテクニックや、抑えておくべきテクニックはたくさんあります。

  • 継続で受注するとき「契約を解除する場合は3ヶ月前に書面で申し入れる」と書くのか、いつでも解除できるのか?
  • 瑕疵・業務の範囲:~は含まれない
  • 著作権、著作者人格権
  • 地方裁判所は自分の近くにしておく
  • 「ただちに」は法律用語なので、裁判になった時、本当にただちに行う努力をしたか証明させられる
    • ただちに(マジやれ頑張れ)→すみやかに(正当な理由があれば遅れてもゆるされる)→遅滞なく(一番よわい)
    • 「直ちにやる」契約なのに、やらなかったら義務違反ですが 「遅滞なくやる」契約だったら、多少遅れても許されるわけですね

もちろん、大企業等は、大企業のフォーマットでないと
通らないこともありますが、フォーマットの中身は
柔軟に交渉可能だった、というケースをこれまでよく見てきました。

 

人間不信にならないでね

 

…すごい。どこにも転がってない血なまぐさいノウハウで非っっ常に参考になりました。一定の業務に付随する契約書フォーマットをクリエーター側が作っておくのは賢明そうですね。

以上、専門家からのアドバイスでかなり深みとエグみがマシマシになったところで終了します。

海外旅行とかから帰ってきて思うのは、日本人は勤勉だし詐欺を働く人も少ない(海外だと詐欺やボッタクリが多発するので心が洗われる)。それゆえ性善説で無防備に他者を信じてしまうことも多いです。クリエーターという人種はその中でもとりわけ根がピュアすぎる。専門の職域については様々な知識やスキルを持っているのですが、現実社会の色んな泥臭いアレコレには疎いこともあります。
会社員だとそれなりに法や組織に守られていますが、フリーランスのクリエーターなんてものは詐欺師や悪徳業者としては最も食い物にしやすい存在です。

社会にはたくさんの素晴らしい人がいるのでハナから誰かを疑いすぎるのは悲しいことですが、とはいえ特にフリーの人間は何も守ってくれる後ろ盾がないため、防衛レベルは最大に引き上げておくに越したことはないのだとわかりました。

みなさんがヘルシーにお仕事をして、健やかな生活を送れることを祈っております…!!!グッジョブ!

画・市原えつこ

 

さらに追記:参考になる反響ツイート

記事内で引用させていただいた山中先生からも知見を頂けました。なるほど…

ありがとうございます…

 

THE GUILDの安藤さんより。弁護士さんに2-3万円でリーガルチェックしてもらえるの知らなかった!その後のトラブル発生時の工数を考えるとかなり安いです。