このレポートは、海外展示ビギナーの市原が世界的なメディアアートの祭典アルスエレクトロニカ受賞に伴い、初めての海外出展に奮闘していた日々をまとめた日記的なレポートです。半分自分のための思い出完全まとめ的な感じにつき、読みやすさや要約性などは犠牲にしておりますので、あしからず。。前回日記はこちら↓
設営3日目:展示運用のための最終作業
昨晩飲みすぎて(リンツのビールはでかい…)やや酒残りの身体で朝食会場へ。「How are you?」と色んなアーティストやスタッフが爽やかに聞いてくれるのですが、ずっと「昨晩飲みすぎました…😞」と答えていたので笑われました。
設営3日目ともなると、もうほとんどのアーティストが到着していたので、朝食会場は非常に賑やか。和田さん率いる日本人チームも大勢ワイワイしてました。
昨晩のパーティーで少し話したベルリン在住の映像作家の方がいたのですが、「日本のアーティストでSo Kannoって知ってる?彼と一緒に住んでたことがあるよ」と言っててビックリしました。まさかの菅野さん…!!(この方のお名前聞き忘れたので、知りたい、、、)
USの女性アーティスト、Kristin McWharterと朝食テーブルが一緒だったので仲良くなりました。彼女も同じInteractiveArtのHonorary Mention受賞者です。28歳、もしかしたら今回Interactive部門で最年少なのでは。
せっかくなので彼女のブースを後藤映則さんと覗きに行きました。Oculus Riftを素材として取り込んだ動くスカルプチャーの作品で、5人同時に体験できます。体験者同士の関係性を考察する作用があるらしい。VRゴーグルを彫刻作品のマテリアルとして使うアプローチが新鮮でした。VRコンテンツも彫刻の構造と連動していて面白い。
展覧会ガイドへのインストラクションなど、展覧会運用準備
もう設営だいたい終わって余裕じゃん〜、とか思っていたのですが、いくつかのイベントがあり意外とやることがあってバタバタだったのが設営3日目でした。
美術館なのでスタッフが充実しており、お客さんに説明してくれるガイドさんが各スペースについてくれるので、彼ら彼女らへのインストラクションが予定されています。
で、私がこの「ガイドさん」が作品のトラブルシューティングも対応してくれる人たちだと勘違いしていたので、大急ぎで展示オペレーションの英語版マニュアルをゴリゴリ作り込んでいました(後に、アンディから機材のトラブルシューティングはテクニカルスタッフの役割であると知る。。そりゃそうか)
ガイドさんっつうてもそんなにたくさんいねえだろ、と少人数への説明を想定して余裕ぶっこいていたのですが、めちゃくちゃ大所帯でゾロゾロ来たのでビビリました。こんなにいらしたのかい。。
相変わらず英語での説明に慣れていないので、チラチラカンペ(iPhone画面)を見つつ、どうにか乗り切りました。作品で笑ってくれてよかった。
そして彼らはみんなよく働きとても頼りになる、心強いガイドさんたちでした。
あとは、公式フォトグラファーによる展示作品のShooting。ちょうど自分が展示現場にいるタイミングだったので、起動など対応できて良かったです。
いずれの対応も正確な時間が読めなかったため待機時間が長く、超絶空腹&疲労困憊のところで街をウロウロしていたら良さげなベーカリー&カフェを発見。
割とぐったり疲れていたので、ビールとパスタを流し込みました。。うまい。
オーストリアで最もコスパの良いSIMカード、T-mobileが美術館の近くにあったので、ついでにSIMをゲット。オーストリアはWi-Fi割と飛んでますが、やっぱり現地SIMがあると安心です。10GBの買ったけど全然使い切れなかったな…。
その後博報堂の皆様へのガイドツアーがあったので私も便乗して参加。PrixヘッドのEmikoさんによる全受賞作品紹介が聴けて、とても勉強になりました。
アルスの受賞作品は、社会との関わりに重きが置かれたポリティカルな作品が多いという傾向が分かりました。
メイン会場POSTCITYでアーティストパスをゲット
設営終わった後藤映則さん、plaplaxの久納鏡子さんとメイン会場のPOSTCITYへ移動。郵便局を改装した会場で、めちゃくちゃデカい。フェスティバルの中心となる会場で、作品数も非常に多いです。
アルスは街をあげてアーティストを歓迎しようというホスピタリティがすごくて、アーティストパスをもっているとフェスティバル期間中はリンツ内の公共交通機関は乗り放題、アートスポット入り放題という嬉しいサービスがあります。
アーティストパスはPOSTCITYでしかゲットできないので、遠方の出展者はやや手間ですが。。
私はSTARTS PRIZE部門の方にもノミネート頂いていたので、フェスティバル入り口のSTARTSコーナーでもプロジェクト紹介がありました。一番手前の最も目につく位置に置いて頂きちょっとうれしいので写真に収めるなど。
後藤さんが写真撮ってくれたので僭越ながらドヤ顔をキメてみました(すみません)。
開催前日夕方になってもバリバリ設営中のPOSTCITY
受賞展示会場のOK CENTERはとっくに朝には設営終わって記録撮影済みのフェーズなのですが、POSTCITYは作品数が多いせいか開催前日の夜になってもまだ全然設営中の作品やまだ何にもないブースとかがバリバリあってビビりました。みんな心臓強いなおい…!!
知人の日本人のアーティストとも結構遭遇して、みんな順調に設営が終わっている模様でした。日本人の仕事間違いない。
地下にはギャラリーコーナーがあり、めちゃくちゃカッコいい展示が多かったです。
メディアアート独自のマーケットを作ることをテーマにした展覧会シリーズは、個人的にも強く興味のあったトピックで、かなり興奮しました。
POSTCITY地下では、現代アートの文脈やルールに取り込まれず、メディアアートが独自にマーケットを作っていくことをテーマにした展覧会がありとても興味深いです
脇田玲先生からいかにメディアアートを「売る」か、という戦略を色々伺って鼻血が出そうになりました😇血圧上がる話やわー pic.twitter.com/tKyMQ1Hl5L— 市原えつこ / Etsuko Ichihara (@etsuko_ichihara) September 5, 2018
設営疲れがあったのでまっすぐ宿に戻るかと思いきや、やはり飯と酒を流し込みたくなったので後藤さんたちの夕食に同席することに。筧研のみなさんと合流しました。
左側の武井祥平さんは、2012年に東京都現代美術館のコンペで武井さんがグランプリ、私が準グランプリをとったというご縁があったので、リンツでまた再会できてよかったです。当時設立したてだった会社もまた健在で、頑張っているご様子。そしてなんと後藤さんとは小学校からの幼馴染とのことで笑いました。
アルスは様々な世代のアーティストの同窓会感があるなと思いました。
明日からはいよいよ展覧会オープン。
深酒と時差ボケで完全に寝付きが悪かったので、宿に戻ってからはひたすら作品説明の練習をしておりました……。続く。
翌日の日記はこちら: