アート

アルスエレクトロニカ初出展レポート①:展示設営編

前回のブログにも書きましたが、国際的なメディアアートフェスティバル・アルスエレクトロニカでの栄誉賞受賞に伴い、9/2〜9/12まではオーストリア・リンツに渡航し、受賞展示を行ってきました。
私にとっては初めての海外展示で、何かと思い出が詰まっている日々だったため、いつもとは形態を変えて日記的なレポートを書かせていただきます。

わかっちゃいたけどリンツは遠い

東京からウィーンまでは約12時間以上のフライト。長い。

おまけに荷物量がやばい。これまでの海外渡航で確実に最大の荷物量になりました。

今回はヒューマノイドロボットを手荷物で運んだので、それが一番の心配どころだったのですが
全然すんなり手荷物検査を通過していって安心しました(最初バッテリー外せませんか?と訝しがられましたが、X線通したら『全然バッテリー小さかったんで問題ないです』とのこと)

ウィーン空港には予定どおり着いたのですが、
税関の手続きで待ち時間が出たりSIMを探して右往左往したりOBB(鉄道)の乗り方が分からず四苦八苦したりいくつかの便が欠航してたりトラムの乗り場が不明だったりで、迷いまくって予定より2時間ぐらい遅れてリンツに到着。
ホテルにクソ重い荷物を置いてすぐ、美術館に慌てて行きました。

なお、リンツでの交通手段についてはGRINDERMANタグチヒトシさんのブログがかなり参考になります。オススメ。

準備編 – Ars Electronica2014リンツへ その1

設営一日目〜着いた初っ端から猛烈なコンストラクション

受賞作品展の展示会場はOK Center for Contemporary Art。
アルスエレクトロニカの受賞展にあたる「CyberArts」が歴代開催されている美術館です。

なおこちらがウェブページ。グランプリ受賞者じゃないのになぜか私の作品フィーチャーしてくださってて嬉しい。。

入り口わからなくてウロウロしてるところを輸送・渡航・契約関連責任者のMariaさんが発見してくれました。
ずっとメールでやり取りしていたので、ようやく実物とお会いできて感慨深かった。優しそうで仕事ができそうな(実際できるのですが)女性でした。

CyberArtsのテクニカル責任者のAndreas(アンディ)が展示室にご案内。
仕事が本当に完璧かつ速い、誠実、しかも優しい、のスーパーマンで安心感がすごかったです。
事前にメールのやり取りをしてる時にはベテラン感がにじみ出てたので結構年配の方なのかなと思っていたのですが予想よりかなり若かった。

連れて行ってもらった私の展示室は美術館の入り口から近く、かなりオープンな雰囲気の空間。設営中にもリンツ市民の皆さんが通りがかってるのがシュール。
雰囲気がICCで初個展した時と似てて、使いやすかったです。事前に台座の制作やモニタの取り付けも既にやってくれててありがたい。

日本から手荷物で持ってきたロボットが動作するのかまず確認。
飛行機の離着陸の揺れで故障してないか心配だったのですが、無事に動いてまずホッとしました。これで勝つる…!!

技術スタッフが充実しすぎて逆にパニクる

お腹ペコペコだったので、ランチをとってから戻って作業開始予定だったのですが
現場に戻るとそこには強面のオーストリア人施工担当者たちが10人ぐらいひしめいていてビビりました。
どうやら私は到着がまあまあ早かったのでまだ施工ラッシュではなく、手があいてるテクニシャンが多数いた模様。
会場の空気をみつつ取り付け場所決めよ〜、ぐらいにのんびり構えていたのですが、結果的にすべて即決で様々な施工内容を決めて、同時並行で慣れない英語でガンガン指示出しをすることに。喉カラカラ、汗ダラダラかきながらお面類の固定やアミッドスクリーンの取り付け、映像のセットアップ、配線などを進行(謝罪と感謝の言葉を死ぬほど言った気がする)

アミッドスクリーンの取り付けだけ、自分が想定していた取り付け方法では明らかにうまくいかないことが現場でわかり、
手伝ってくれてた現地インターンの男の子と「どうしようね…」と困っていたところにAndreasがやってきて、「照明のレールのところに着けられるよ」と提案いただき「救いの手キタ!!!」とアンディが神に見えました。
テスト投射を見てみたところむしろ最初に想定してた場所よりも距離感的に全然良かったのでこちらにFIXすることに。

みんな仕事が速いので一瞬で色々終わりました。設営開始が14:15だったのですが、16:30ぐらいには2日がかりでやるのを想定していた施工内容がほぼ終わっていた。2時間強……!!みんな仕事早すぎww

「今日できることはもう終わったから、もうホテルに戻っていいよ」とアンディに言われ、長距離移動からの施工や指示出しで疲労困憊だったのでお言葉に甘えて宿に戻ることに。他の施工担当者の方々にも「もう今日は帰るんだけど、大丈夫?」と念のため聞いたら「君にとって良いのであれば、もちろん僕らにとっても良いよ!」という心強いお返事。
(と言いつつ施工現場が気にかかりその後しばらく散歩と称して館内をウロウロしていたのですが…)

美術館を出てリンツを歩いてると、テラス席でビールを飲みながら談笑しているオーストリア人がたくさんいて、
羨ましくなったので自分も慰労がてらビールをキメました。レモンの風味でうまい。最高。

もう疲れドロッドロで、ホテルに着いてからは泥のように爆睡しました。

設営二日目〜少しゆったりめスケジュール、夜は交流会

設営期間中、朝はBreakFast Meetingとして美術館併設のカフェで参加アーティスト、スタッフ揃って朝食をとります。
最初若干ビビって入り口を一度素通りしたら、アンディが気付いて呼びに来てくれました(すんません)。
Mariaさんやアンディと雑談したり、あまり接触機会がなかったキュラトリアルチームの方々と顔合わせできたり、昨日お世話になったテクニカルチームの皆さんに挨拶できたり結果的にとても楽しかったです。作業の打ち合わせも一緒にできて効率良いシステムでした。OKセンターにはMariaさんという名前の方が4名、アンディという名前が2名いるらしい。

物理的な設営は初っ端でかなり片付いたので、運用PCへのソフトウェアインストールやホログラムの映像調整などソフト面をのんびりやることができました。

同じくInteractive Art+部門日本人受賞者の和田永さんとプロデューサーの清宮さんも現場に着いていたので、ランチご一緒することに。
ちなみにちょくちょく公言しているのですが、私は大学時代に和田さんの気持ち悪いぐらいの猛烈なおっかけファンでして、それが高じて自分もアーティストになったという経緯があるので、和田さんとアルスで会えるのはかなり胸熱でした。

「デザート食いたいっすね」ということでジェラート屋も冷やかす。

和田さんファンすぎてグラビア撮ってしもうた。

リンツのジェラートはまじでうまいっす。オススメ。

午後ものんびりセットアップ。
昨日とは打って変わって基本ひとりでやれる作業のため、マイペースな時間が過ぎていきました。
その間もちょくちょくテクニカルの人たちが様子を見に来てくれるので心強い。
とはいえ昨日よりもスタッフが忙しくて捕まりにくくなったので、少し早めに現地入りしたのはラッキーでした。

ルーフトップでWelcome Party

夕方からは受賞アーティスト、スタッフともにOK Centerの屋上ルーフトップに大集合。歓迎パーティー的なものがありました。

キュラトリアルアシスタントのMaria Venzlさんに、「アーティストの皆さんにプロジェクト紹介してもらうからそのつもりでね」と言われていたのですが、まさかの初っ端から「じゃ、Etsuko」と呼ばれてしまい、超しどろもどろで自己紹介しましたwよく考えたら英語で大勢の人に対して話したのは初めてだった。。。
どういうわけかその後広報チームに呼び出され受賞についてのインタビューを受け、またもや超下手くそな英語がアルスの公式映像として大公開されるという赤っ恥。下記からご覧いただけますが私は怖くて聴けてません。

アルスエレクトロニカ賞のヘッドである日本人女性、Emiko Ogawaさんともようやくゆっくりお話できて嬉しかったです。
すごくほんわかしててクレバーで素敵な女性でした。

同部門受賞者のイギリスのアーティスト、Georgie Pinn。めっちゃかっこいい女性で大好きだった。。「アーティスト感すごい!!」と和田さんと興奮してました。

Computer Animation部門の日本人受賞者、後藤映則さんもリンツ着。
「我々の共通点はねえ、シャーマニズムですよ!!!」「アーティストは最終的に教祖に行き着くのですよ!」と息巻く和田さんと割とノリノリの後藤さん。

 

みんなベロベロに酔っ払い、多くの人がOK CENTER地下にある美味しいレストランへ流れ込む。
ちなみに和田さんはGalaでのパフォーマンスにロボットアーティストのSalah Petkusをスカウトしてました(あの子、動きがめっちゃ面白い、と絶賛していた)

Emikoさんが現地のドイツ語メニューを全部丁寧に翻訳してくださいました。おすすめのメニューを頼んだら完全に美味しいやつで最高だった。ラザニア忘れられない。

そして夜は更けていく。。

設営まだ二日目ですが長いので一旦切ります。続く。

 

翌日の日記はこちら:

アルスエレクトロニカ初出展レポート②:設営最終日編このレポートは、海外展示ビギナーの市原が世界的なメディアアートの祭典アルスエレクトロニカ受賞に伴い、初めての海外出展に奮闘していた日々を...

 

ABOUT ME
etsuko-ichihara
メディアアーティスト。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性から、国内の新聞・テレビ・Web媒体、海外雑誌等、多様なメディアに取り上げられている。第20回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門優秀賞を受賞、総務省異能vation(独創的な人特別枠)に採択。